オルガネラ間接触による軸索のスクラップ&ビルドメカニズムの解析

 

研究代表者
・平林 祐介(東京大学 大学院工学系研究科化学生命工学専攻・准教授)W100Q75_hirabayasi1

脳の発生および発達段階において、ニューロンは適切なターゲット細胞とシナプスを形成しニューラルネットワークを形成するためにスクラップ&ビルドを繰り返す。興味深いことに軸索の成長分岐と、軸索上に作られるシナプス前終末(プレシナプス)の活性は互いに依存し合っている。特に、発生期においてはシナプス形成前のシナプス前終末の自発的発火が軸索の分岐に必要であることが分かっている。このことは軸索内のシナプス前終末に局在する内在的機構が軸索分岐制御に必須であることを強く示唆するが、そのメカニズムはほとんど明らかになっていない。本研究計画では小胞体-ミトコンドリア接触によるシナプス小胞の制御メカニズムを明らかにし、細胞内因性因子による軸索のスクラップ&ビルドメカニズムを明らかにする。本研究で明らかにしようとするオルガネラによる軸索制御メカニズムは様々なニューロンにおいて共通して働くメカニズムである可能性が非常に高く、本研究によりニューロンの発達及び動作制御に普遍の分子的機構を見出すことが期待される。

 

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論文

Y. Hirabayashi, JC. Tapia, and F. Polleux Correlated Light-Serial Scanning Electron Microscopy (CoLSSEM) for ultrastructural visualization of single neurons in vivo 
Scientific Reports 2018, 8;14491

Y. Hirabayashi, S.K. Kwon, H. Paek, WM. Pernice, MA. Paul, J. Lee, P. Erfani, A. Raczkowski, DS. Petrey, LA. Pon and F. Polleux, ER-mitochondria tethering by PDZD8 regulates Ca2+ dynamics in mammalian neurons
Science 2017, Nov 3;358(6363): 623-630 (Research Article)

G. Mountoufaris, WV. Chen, Yusuke Hirabayashi, S. O’Keeffe, M. Chevee, C. Nwakeze, F. Polleux, T. Maniatis Multi-cluster Pcdh diversity is required for neural circuit assembly
Science 2017, Apr 28;356(6336): 411-414