神経突起コンパートメント化によるスクラップ&ビルド

 

研究代表者
・榎本 和生(東京大学 大学院理学系研究科生物科学専攻・教授) emoto

研究分担者
・小澤 岳昌(東京大学 大学院理学系研究科化学専攻・教授)
・今井 猛(九州大学 大学院医学研究院 疾患情報研究分野・教授
      理化学研究所 多細胞システム形成研究センター 感覚神経回路形成研究チーム・チームリーダー(兼任))

 脳神経回路の大まかなネットワークは胎児期に形成されるが、出生直後の脳神経回路は、混線や断線を多数含む機能的に未熟な状態にある。その後の発達段階において、余分な神経回路を除去しつつ新たな回路が付加されることにより機能的な情報処理回路へと成熟する。このような脳発達期における神経回路スクラップ&ビルドの不全が自閉症など発達障害の一因となる可能性が指摘されているが、簡便な解析モデルが確立されていないために、その分子細胞基盤はほとんど解明されていない。本研究では、ショウジョウバエ変態における神経回路再編をモデルとして、神経回路スクラップ&ビルドを駆動する主要細胞メカニズムである不要神経回路のコンパートメント化と選択的除去を制御する分子基盤を同定し、その作動原理を解明することを目的とする。

ponti_emoto

 

論文

Koizumi H, Fujioka H, Togashi K, Thompson J, Yates JR, Gleeson JG & Emoto K
DCLK1 phosphorylates the microtubule-associate protein MAP7D1 to promote axonal elongation in cortical neurons.
Developmental Neurobiology 77: 493-510 (2017).

Yasunaga K, Tezuka A, Ishikawa N, Dairyo Y, Togashi K, Koizumi H & Emoto K
Adult Drosophila sensory neurons specify dendrite boundaries independent of dendritic contact through the Wnt5-Drl signaling pathway.
Genes & Development 29: 1763-1775 (2015).

Kanamori T, Kanai M, Dairyo Y, Yasunaga K, Morikawa R & Emoto K
Compartmentalized calcium transients trigger dendrite pruning in Drosophila sensory neurons.
Science 340: 1475-1478 (2013).