渡部文子
扁桃体シナプスの経路特異的スクラップ&ビルドによる情動価値の形成と変容
研究代表者
・渡部 文子(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター・臨床医学研究所・教授)
苦味、天敵臭、痛みといった感覚情報は、生得的に負の情動を惹起することで警告信号として機能する。一方、例えば「空腹は最良のソース」といった短い時間スケールから、大好物でも食あたり後は苦手になる、といった長い時間スケールまで、感覚情報の情動価値は内的・外的環境や加齢などにより多様な修飾を受けることも知られる。感覚情報は脳幹や視床、皮質まで多様な経路を介して扁桃体に入力することから、これらの経路の統合と再編成が情動価値の変容を支えると想像されるが、そのシナプス機構はほとんどわかっていない。そこで本研究では、扁桃体シナプスのスクラップ&ビルドを介した情動価値の形成と変容機構を、遺伝子改変マウスや各種改変ウイルスベクターを用いた電気生理学と行動学的手法を駆使して解明することを目指す。
論文
Nagase, M., Mikami, K., and Watabe, A.M. *
Parabrachial-to-amygdala control of aversive learning.
Current Opinion in Behavioral Sciences (2019) 26: 18-24 (*CA)
Shinohara K., Watabe, A.M.*, Nagase M., Okutsu Y., Takahashi Y., Kurihara H., Kato F.
Essential Role of Endogenous Calcitonin Gene-Related Peptide in Pain-associated Plasticity in the Central Amygdala.
Eur J Neurosci, (2017) 46:2149-2160 (*CA)
Sato, M., Ito, M., Nagase, M., Sugimura, Y.K., Takahashi, Y., Watabe, A.M.*, Kato, F.
The lateral parabrachial nucleus is actively involved in the acquisition of fear memory in mice.
Mol. Brain (2015) 8:22 (*CA)