杉山(矢崎)陽子
キンカチョウ歌学習を統合的に制御する生得的回路と獲得回路のスクラップ&ビルド
研究代表者
・杉山(矢崎) 陽子(沖縄科学技術大学院大学・准教授、東京大学 WPI-IRCN・特任准教授)
ヒトが言語を発達せるのと同様、ソングバードの一種であるキンカチョウは生後に成鳥の歌を聴いて覚え、模倣することで歌を学習する。この時、ヒトの赤ちゃんがどの言語でも学習する一方でヒトの言語以外は学習しないのと同様、キンカチョウは個々に違う歌を唄うにも関わらず、生得的に自身の種の歌を聴き分け、種に特有の特徴を保ったまま個々に固有の歌を発達する。
これまでの研究から、キンカチョウの第一次聴覚野には生得的に歌のテンポパターンに反応する細胞群と、学習によって獲得する音響構造に反応する細胞群の少なくとも二つの細胞群が存在することを明らかにした。本研究ではキンカチョウの歌学習をモデルとして用い、生得的に獲得する神経回路と経験依存的に形成する神経回路が破壊(スクラップ)と構築(ビルド)の中で統合され、一つの行動、歌学習を制御する神経メカニズムを明らかにすることを目的とする。
論文
Yanagihara S. and Yazaki-Sugiyama Y.
Social interaction with a tutor modulates responsiveness of specific auditory neurons in juvenile zebra finches.
Behav Proc, https://doi.org/10.1016/j.beproc.2018.04.003 (2018)
Araki M., Bandi M. M. and Yazaki-Sugiyama Y.
Mind the Gap: Neural Coding of Species Identity in Birdsong Prosody.
Science 354: 1282-1287 (2016)
Featured:Science 354: 1234-1235
Yanagihara S. and Yazaki-Sugiyama Y.
Auditory experience dependent cortical circuit shaping for memory formation in bird song learning.
Nat. Commun, doi: 10.1038/NCOMMS11946. (2016) (featured article)